US News 米国発ニュース
2024年6月19日
バイデン大統領は6月18日、米国に10年以上暮らし、米国籍の配偶者がいる不法移民約50万人と、その子供約5万人の強制送還を猶予する新たな救済措置の意義を強調した。
再選を狙う11月の大統領選では不法移民の急増が重要争点。
一方、対決する共和党のトランプ前大統領は不法入国者に「不当な褒美 (ほうび) を与えることになる」と批判を強めている。
ヒスパニック (中南米系) の票を睨 (にら) んだ新たな措置は米国籍の配偶者がいる不法移民に労働許可を与えるほか、永住権獲得に
道を開く。
AP通信によると「夏の終わり頃まで」に施行を始め、バイデン政権による「最も広範な移民保護政策の一つ」になるという。
ホワイトハウスで演説したバイデン氏は「家族を離散させてはならない」と呼びかけ、救済は喫緊の課題だと指摘。
「国境を守る責務がある」とも述べ、不法越境者が一定数を超えた場合に事実上の国境封鎖を可能にする大統領令を6月4日に出したことと併せて、バランスの取れた移民政策を進めていると主張。
一方、トランプ氏は厳格な国境管理を訴えている。
ウィスコンシン州での選挙集会では、流入を続ける不法越境者による「侵略を止めなくてはならない」と語った。
大統領に返り咲けば、就任初日に救済措置を撤廃し、大勢の不法移民を強制送還すると宣言した。
バイデン政権下でメキシコとの南部国境から押し寄せる不法移民は過去最多を記録。
保守派は流入阻止を求め、リベラル派は寛容な政策を訴えている。
バイデン氏は幼少時に親に連れられて不法入国した若者の強制送還を猶予するオバマ政権の措置「DACA」導入から12周年の行事で演説した。
(2024年7月1日号掲載)
2024年6月13日
米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会 (FRB) が年内の利下げ回数の見通しを3回から1回に引き下げた。
インフレ率が下げ渋り、物価目標の達成が遠のいているためだ。
揺れるFRBは高い政策金利を維持し、円安基調の主因である日米金利差は縮まらない。
日銀が円安是正も狙った政策調整に動くとの観測もあるが、行方は不透明だ。
▽変化する意見
「(利下げを) あまりに長く待つと経済に悪影響があるし、早すぎるとこれまでの利上げが台無しになる」。
ジェローム・パウエル議長は6月12日の記者会見で、利下げ時期をめぐる判断の難しさを吐露した。
FRBが四半期ごとに公表する経済見通しは今後の政策の指針となり、会合出席者19人の予測の中央値で占う。
昨年12月時点で今年3回の利下げを見込んでいたが、物価上昇率が一時加速したこともあり、利下げに慎重な意見が拡大。
前回3月は9人が3回の利下げを予測したが、今回は3回が消え、利下げなしが2人から4人に増えた。
今後も金利維持と利下げのどちらが増えるかは経済指標次第になる。
▽割れる見方
利下げについて見方は割れる。
米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所 (本拠地:ワシントンDC) のスタン・ボーガー上席研究員は基本路線は1回との見方を示した。
秋の大統領選に向け、景気の下支えとなる利下げを求める民主党と、利下げを避けたい共和党の意向を踏まえるとも指摘。
「政治的中立を示すために、利下げは選挙後になるだろう」とし、対応が後手に回ることを懸念した。
一方、英シンクタンク、パンテオン・マクロエコノミクス (本拠地:英国ニューカッスルアポンタイン) のチーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は、物価上昇率の僅かな上方修正と比べて「利下げ回数を2回減らしたことは強引だ」と批判。
雇用環境は夏に悪化するとし、FRBが見通しより利下げを増やす方向に軌道修正を迫られるだろうと指摘した。
▽高金利続く
米国の高金利長期化で、日本経済は円安に悩まされている。
円相場は4月に一時1ドル=160円台まで下落。
日本政府、日銀は4月と5月に総額9兆7,885億円と過去最大の為替介入に踏み切った。
5月3日には一時151円台まで円が買われたが、その後は円安基調に戻っている。
高い金利水準が続く米国に対し、日本は3月にマイナス金利を解除したばかり。
市場ではFRBの利下げや日銀の利上げによって差が縮まらない限り、円安は続くとの見方が出ている。
国際通貨基金 (IMF) の関係者は「当面の円相場はFRB次第となりそうだ」との見方を示した。
▽流動性否めず
FRBは6月12日、金融政策を決める連邦公開市場委員会 (FOMC) で主要政策金利を7会合連続で5.25~5.5%に据え置くことを決めた。
年内の利下げ回数の見込みは3月時点の3回から1回に減らしたが、11月には大統領選も控え、政策決定が流動的になる可能性もある。
今後のFOMCは7月、9月、11月、12月に予定されている。
利下げは企業が融資を受けやすくなることから株価には好材料となる。
大統領選でバイデン大統領との対決が確実視されるトランプ前大統領は選挙前の利下げを「民主党を助ける」と批判しており、景気を支えるFRBの政策決定が選挙戦に影響を与えかねない。
FRBは高インフレを抑えるため、2022年3月に利上げを開始し、事実上のゼロ金利政策を解除。
6月からは4会合連続で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めるなど、急激に金利を引き上げてきた。
最後の利上げは2023年7月で、2001年以来となる歴史的高水準の金利は1年継続することになる。
FRBが発表した経済見通しでは、2024年末の金利を5.1%と予測。
通常の利下げ幅の0.25%で1回引き下げることになる。
2025年末も4.1%と3月時点から引き上げ、2026年末は3.1%で維持した。
(2024年7月1日号掲載)
2024年6月17日
米国でファストフード各社が低価格メニューを相次ぎ投入している。
長引く物価上昇でハンバーガーなどが「贅沢 (ぜいたく) 品」となり、敬遠されつつあるため。
だが、人件費の高騰が続く中、値下げが定着するかどうかは未知数だ。
ウェンディーズは5月、3ドル (約470円) の朝食セットを始めた。
マフィンサンドとフライドポテトで、飲み物は別。
マクドナルドは6月後半から終日メニューとしてハンバーガー、ナゲット、ポテト、ドリンクの 4品セットで5ドル (約790円) の
商品を投入すると報じられた。
バーガーキングも同様のメニューを始めた。
通常の価格はこれらのメニューよりも高く、ニューヨークの場合は、どのチェーンでもバーガー、ポテト、ドリンクで最低10ドル程度はする。
思い切った値下げで顧客の目を引く狙いだ。
米労働省によると、ファストフード価格は今年4月時点で前年同月比4.8%上昇し、10年間では50%近く上がったとされる。
いずれも物価全体の上昇率を上回る。
米金融サービス会社レンディングツリー (Lendingtree Inc./本社:ノースカロライナ州シャーロット) の調査では、米国人の 78%がファストフードを贅沢品と見なし、62%が価格上昇で食べる機会が減ったと答えた。
マクドナルドのクリス・ケンプチンスキー最高経営責任者 (CEO) は「消費者は物価上昇でお金の使い道を吟味しており、業界を圧迫している」と危機感を示す。
ただ、これまでの価格上昇の主な要因である人件費の高騰は収まっていない。
低価格メニューが広がるかどうかは見通せず、米経済への波及効果も限られそうだ。
(2024年7月1日号掲載)
2024年6月17日
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所 (SIPRI/本拠地:ソルナ) は6月17日、2024年1月時点で中国が保有する核弾頭数は昨年同月から90発増え、推計500発になったと発表した。
うち24発が実戦配備済みと見込んだ。
「どの国よりも核戦力を速く拡大させている」と指摘。
世界の核弾頭総数 (推計) は12,121発と昨年から微減したが、核兵器開発は進み「各国が核抑止力への依存を深めている」と懸念を
示した。
中国について、これまで核弾頭を別に保管していたとみられてきたが、固体燃料型ミサイルをサイロ (地下発射施設) に格納する
などの動きを見せていることから「恐らく少数の核弾頭を配備し始めている」と分析。
将来的には、運搬手段の大陸間弾道ミサイル (ICBM) を核大国の米国やロシアに匹敵するほど多数配備する可能性もあるとした。
実戦配備済みは米国、ロシア、英国、フランスの4か国で、中国が加われば5か国目となる。
「中国の核兵器保有は今後10年増え続ける」と推計した。
北朝鮮は20発増え、推計約50発になった。
核弾頭最大90発分の核分裂性物質を保有しているとみられ、核弾頭数は今後も増加すると予想される。
SIPRは「北朝鮮は他国と同様、戦術核兵器の開発に重点を置きつつある」と分析。
北朝鮮が紛争の初期段階で核を使う危険性もあり得ると警鐘を鳴らした。
ロシアは5,580発、米国は5,044発で、両国で世界の 9割近くを占める。
米ロが古い核弾頭を解体したことなどで世界全体の総数は減ったが、運用可能な核弾頭に限れば9,585発となり9発増えた。
実戦用に配備された核弾頭は世界で60発増えて3,904発になった。
うちロシアが1,710発、米国は1,770発。
ダン・スミス所長は「我々は人類史上、最も危険な時期の一つにいる。大国は一歩引いて考えるべき時だ」と訴えた。
国際非政府組織 (INGO)、核兵器廃絶国際キャンペーン (ICAN/本拠地:スイス・ジュネーブ) は6月17日、核兵器保有9か国による2023年の核兵器関連支出が前年比13.4%増の 914億ドル (約14兆3,800億円) に上ったとの推計を発表した。
増加幅も拡大。
全ての国に対し、核兵器を全面的に違法化した核兵器禁止条約に参加するよう訴えた。
最大支出国は米国で、全体の過半を占める515億ドル。
弾道ミサイルを搭載する原子力潜水艦の入れ替えなどを含む核兵器関連の最新鋭化を進めており、前年比17.8%増と9か国の中で最も高い伸び率を示した。
中国119億ドル、ロシア83億ドル、英国81億ドル、フランス61億ドルと続き、国連安全保障理事会の常任理事国5か国が上位を占めた。
インドが27億ドル、イスラエルは11億ドルで、パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦により軍事費は急増したが、核兵器関連はあまり影響を受けていないと分析した。
パキスタンが10億ドルで、北朝鮮は公開情報が極めて少ないとしながらも8億5,600万ドルと見積もった。
ICANは、米ハネウェル・インターナショナルや米ノースロップ・グラマンなど20社が2023年に、核兵器の開発・管理で少なくとも310億ドルの収益を得たと指摘。
同年の新規契約は79億ドルを超えたとみている。
これらの企業は米仏両政府に対するロビー活動に計1億1,800万ドルを費やした。
英政府高官と40回以上会談した企業もあり、政府やシンクタンク、金融機関に影響力を行使していると強調した。
(2024年7月1日号掲載)
2024年6月15日
米連邦最高裁は6月14日、銃に取り付けて連射可能にする特殊装置「バンプ・ストック (bump stocks)」の使用や所持を禁止したトランプ前政権の措置について、連邦法から逸脱しているとして無効と判断した。
装置の使用が銃暴力の犠牲者増加を招いており、銃規制団体が反発している。
銃規制の是非は11月の大統領選で争点の一つ。
判事9人のうち保守派6人による多数派意見だった。
銃規制を推進する民主党のバイデン大統領陣営は、共和党のトランプ前政権下で保守化した最高裁が「子供の安全よりも銃ロビーを
重視した」と批判した。
銃規制団体ブレイディ・キャンペーン (Brady Campaign) も「破滅的な判断だ。米社会に戦争のための武器が出回るようなことがあってはならない」と非難した。
バンプ・ストックは半自動式の銃に取り付けて、全自動式の銃と同様の連射を可能にする装置で、銃弾を発射する際の反動を利用する。
テキサス州の銃販売店主が使用禁止の無効を求めて提訴していた。
前政権はバンプ・ストックを「マシンガン」の定義に含めると規定を改め、所有者は破壊するか当局に持ち込まなければならないとした。
保守派のクラレンス・トーマス判事は「バンプ・ストックを装着した半自動小銃はマシンガンではないと結論づけた」とした。
トランプ前大統領は銃所有の権利を擁護しているが、2017年にラスベガスで60人が死亡した米史上最悪の銃乱射事件で容疑者 (死亡) がバンプ・ストックを使用し、規制を求める声が強まったことなどを受け、2019年3月に禁止した。
(2024年7月1日号掲載)
5/22/2024
2024年大統領選で共和党候補指名が確実なトランプ前大統領は5月初旬、フロリダ州の私邸で開いた会合で、バイデン民主党政権をナチス・ドイツの秘密国家警察に準 (なぞら) えて「ゲシュタポ政権」と発言した。
自身への起訴は政治的な動機によるものだと改めて批判した。
非公開会合の録音をニューヨーク・タイムズ紙が入手して報じた。
ユダヤ系人権団体はゲシュタポと政権の対比を「侮辱的で嘆かわしい」と反発した。
トランプ氏は中南米からの不法移民が米国の「血を汚している」と発言したことがあり、バイデン陣営はユダヤ人を迫害したナチスが使用した言葉を想起させると非難していた。
トランプ氏は会合で、議会襲撃事件の捜査を担当している司法省の
ジャック・スミス特別検察官の外見を揶揄 (やゆ) し「もてない野郎だ」と罵 (ののし) った。
一方、バイデン政権は反ユダヤ主義への対抗施策を発表。
パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐる学生デモで暴力や憎悪の事例があると指摘。
取り組みとして、反ユダヤ主義の証明を示す手引を全米の大学に発出した。
オンラインでの反ユダヤ主義コンテンツに関し、IT企業に情報提供して規制強化に役立てる。
バイデン大統領はワシントンのホロコースト記念博物館 (US Holocaust Memorial Museum) で演説し、取り組みを訴えた。
(2024年6月16日号に掲載)
5/22/2024
2024年大統領選で共和党候補指名が確実なトランプ前大統領は5月初旬、フロリダ州の私邸で開いた会合で、バイデン民主党政権をナチス・ドイツの秘密国家警察に準 (なぞら) えて「ゲシュタポ政権」と発言した。
自身への起訴は政治的な動機によるものだと改めて批判した。
非公開会合の録音をニューヨーク・タイムズ紙が入手して報じた。
ユダヤ系人権団体はゲシュタポと政権の対比を「侮辱的で嘆かわしい」と反発した。
トランプ氏は中南米からの不法移民が米国の「血を汚している」と発言したことがあり、バイデン陣営はユダヤ人を迫害したナチスが使用した言葉を想起させると非難していた。
トランプ氏は会合で、議会襲撃事件の捜査を担当している司法省の
ジャック・スミス特別検察官の外見を揶揄 (やゆ) し「もてない野郎だ」と罵 (ののし) った。
一方、バイデン政権は反ユダヤ主義への対抗施策を発表。
パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐる学生デモで暴力や憎悪の事例があると指摘。
取り組みとして、反ユダヤ主義の証明を示す手引を全米の大学に発出した。
オンラインでの反ユダヤ主義コンテンツに関し、IT企業に情報提供して規制強化に役立てる。
バイデン大統領はワシントンのホロコースト記念博物館 (US Holocaust Memorial Museum) で演説し、取り組みを訴えた。
(2024年6月16日号に掲載)
6/1/2024
「間違いだと気付いたときには手遅れで、軌道修正は困難だと思う」「ソーシャルメディアの登場が影響しているのではないか」。
2月下旬、イリノイ州の名門シカゴ大の教室で16人の学生が激論を交わしていた。
テーマは米社会にはびこる陰謀論だ。
「陰謀論の問題は信奉者が他の人々と理解し合えなくなることだ」。
講義を担当する政治学者ウィンストン・バーグ (32) が語りかける。
陰謀論の危険性を一方的に指摘して排除するのではなく、信じて疑わない人々とどう向き合うか。
2か月余りの講義で学生たちは模索し続けた。
▽闇の政府
「2021年の米連邦議会襲撃は連邦捜査局 (FBI) が仕組んだ」「人気歌手のテイラー・スウィフトはバイデン民主党政権の手先だ」――。
各世論調査によると、米国ではこうした根拠のない主張を共和党員の約3割が信じている。
根底にあるのは、首都ワシントンに巣くう一部エリート層が「ディープステート (闇の政府/Deep State) 」をつくり、秘密裏に権力を握って米国を操っているとの論理だ。
今年11月の大統領選で共和党候補指名獲得を確定させた前大統領ドナルド・トランプはこれを徹底的に利用、拡散してきた。
既存政治打破を掲げ、自身を批判する民主党を中心とした敵対勢力にディープステートのレッテルを貼って攻撃。
既得権益と戦う姿勢を演出することで求心力を高めた。
2020年大統領選に敗れたトランプが選挙は不正だったと主張すると、陰謀論勢力「Qアノン/QAnon」が共鳴。
選挙結果を覆そうと議会襲撃に加わった者もおり、民主主義の根幹を揺るがす事態となった。
「ディープステートを解体し、政府を取り戻す」
トランプは2022年11月の大統領選再出馬表明でも宣言した。
今回の選挙戦も陰謀論は止みそうにない。
▽分断
陰謀論自体はこれまでも米社会に存在し、多数の書籍が出版されてきたが、飽くまでも意識流の存在だった。
それがトランプの台頭により「米政治を理解する鍵となった」と、カリフォルニア大デービス校教授キャスリン・オルムステッドは指摘する。
深まる社会の分断の遠因を探ろうと、多くの大学でも講義に取り上げられている。
「バカげていると相手にしていなかったけど、真実と思わせる内容が含まれているかもしれないと思うようになった」。
シカゴ大4年のイザベラ・デバイン (22) は、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件 (1963年) や米中枢同時テロ (2001年) にまつわる陰謀論者の著作を講義で調べるうちに、なぜ人々が信奉するようになるのか考えさせられたという。
「相手が間違っていると強調するだけでは意味がない」。
バーグが学生たちに繰り返し伝えている言葉だ。
「米国が人種や宗教の違いを乗り越えてきたように、陰謀論が生み出した分断の架け橋を見出したい」
(文中敬称略)
「闇の政府」と「Qアノン」の概要
▪︎ 闇の政府 (Deep State):米国において正式な政府機関とは別に存在するとされる、非公式かつ秘密のネットワークを意味する。
この説は、一部の政治家や軍部、企業などが国家の公式な政策や選挙結果に影響を与える裏の力を持っているとする陰謀論に基づくもの。
通常、主流メディアや学術界ではこれを支持する具体的な証拠は提供されていないが、一部の人々の間では信じられている。
▪︎ Qアノン (Q-Anon):闇の政府に関連する陰謀論を信じる運動であり、2017年にオンライン上で突如現れた。
この運動は「Q」と名乗る匿名の個人が掲示板に投稿したメッセージに由来している。
Qは自らを米政府内の高官に匹敵する情報通であると主張した上で、トランプが国内外の敵対勢力と戦いを繰り広げている内容が展開された。
Qアノン支持者は、トランプが深層国家 (闇の政府) と呼ばれる秘密組織に対抗する英雄と信じており、彼の政策や行動を盲目的に支持することが多い。
これらの陰謀論は、特に情報が錯綜する現代社会において、事実と虚構の区別がつきにくい状況を作り出し、社会的な分裂を助長する要因となっている。
信じる者にとっては、これらの理論は社会や政治の裏に潜む真実を暴くものとされるが、批判的な観点からは根拠の乏しい陰謀論と評されるのが一般的だ。
(文中敬称略)
(2024年6月16日号に掲載)