Wednesday, Apr 30

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米地方紙グループが提訴 AI学習で著作権侵害

2024年5月1日

ニューヨークデイリーニューズ紙やシカゴトリビューン紙など計8つ米地方新聞社は4月30日、対話型人工知能 (AI) の学習に記事を使われて著作権侵害されたとしてオープンAI、同社と提携するマイクロソフト (MS) を相手取って提訴した。

損害賠償の支払いと、さらなる著作権侵害の差し止めなどを求めている。


米投資ファンドのアルデン・グローバル・キャピタルの傘下にある新聞社が共同で提訴した。

オープンAIの「チャットGPT」やMSの「コパイロット」を含むAI製品のために2社が「著作権で保護された何百万もの記事を許可も
支払いもなく盗んだ
」と指摘。

また、不正確な内容を新聞社が報じたかのように誤って答えることで新聞社側の信用を傷つけたとも非難した。


オープンAIは「報道機関をサポートするために製品と設計に細心の注意を払っている」とのコメントを出した。


ニューヨーク・タイムズ紙も昨年12月に同様の訴訟を起こしていた。

一方、オープンAIは米AP通信やドイツのアクセル・シュプリンガー、英国フィナンシャル・タイムズ紙 (FT) などと記事使用で提携している。


FTは4月29日にオープンAIと提携したと発表。

利用者がチャットGPTに質問した際、FTの記事の要約や記事へのリンクを回答できる。

FTのジョン・リディング最高経営責任者 (CEO) は「当然ながら、AIプラットフォームが素材の使用料を発行元に支払うのは正しい」との声明を出したが、具体的な使用料は明らかにしなかった。


ニューヨーク・タイムズ紙は記事の無断利用で著作権を侵害されたとして、オープンAIと同社に出資しているMSを昨年12月に提訴した。

 

(2024年5月16日号掲載)

LVMH会長の資産世界#1 2年連続、株高で富豪増

2024年4月3日

フォーブス誌が4月2日に発表した2024年版の世界長者番付 (Forbes World’s Billionaires 2024 List) で、フランスの高級ブランド大手として知られるコングロマリット、モエヘネシールイヴィトン (LVMH) のベルナールアルノー会長と家族が保有資産2,330億ドル (約35兆円) で2年連続首位となった。

アルノー氏と家族の資産は前年から220億ドル増。


資産10億ドル (約1,500億円) 以上の富豪は前年から141人増えて2,781人となり、合計資産額は2兆ドル増の14兆2,000億ドルとなった。

世界的な株価上昇を背景に、株式を持つ富裕層の資産がさらに膨らんだ。


アルノー氏と家族の資産は前年から220億ドル増。

2位は米企業家のイーロンマスク氏で1,950億ドルとなり、150億ドル増にとどまった。

最高経営責任者 (CEO) を務める電気自動車 (EV) 大手テスラの株価低迷が足を引っ張った。

3位が米アマゾン・コム創業者のジェフベゾス氏で1,940億ドル (1~3位のランキングは前年と同じ)。

4位は米メタ (旧フェイスブック) のマークザッカーバーグCEO、5位は米IT大手オラクル共同創業者のラリーエリソン氏だった。


日本の首位はユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正 (やない・ただし) 会長兼社長と家族で、資産額は428億ドルと世界29位。

続いてソフトバンクグループの孫正義 (そん・まさよし) 会長兼社長が327億ドルで世界51位、計測器大手キーエンス創業者の滝崎武光 (たきざき・たけみつ) 氏が231億ドルで87位だった。


*Photo:© thingyhod / shutterstock.com

 

(2024年5月1日号掲載)

元通訳水原容疑者を訴追、大谷選手は被害者と米検察

2024年4月12日

ロサンゼルス連邦地検は4月11日、銀行詐欺容疑で大リーグ、ドジャース・大谷翔平選手 (29) の元通訳水原一平容疑者 (39) を訴追したと発表した。

違法賭博借金を返すため、大谷選手の口座から胴元側に1,600万ドル (約24億5,000万円) 以上を不正送金したとしている。

大谷選手は送金を知らず、許可もしておらず被害者だと指摘した。


水原容疑者は翌12日に同地裁に出廷。

水原容疑者が正式に起訴され、有罪評決が出れば、最高で禁錮30年が科される可能性がある。


連邦地検によると、水原容疑者は送金のため、大谷選手を装って銀行に電話した疑いがある。

大谷選手は4月上旬に捜査当局から事情聴取を受け、送金への関与を否定した。

連邦地検が開示した裁判資料によると、大谷選手が提出した携帯電話からは、送金や違法賭博について関知していたことを示す証拠はなかったという。


連邦地検によると、水原容疑者は2021年9月に違法スポーツ賭博を始めた。

多額の損失を抱え始めた数か月後までに、大谷選手の口座の連絡先が水原容疑者の電話番号などに変更された疑いがある。

送金したのは22021年11月から2024年1月までで、水原容疑者が関係する機器やIPアドレスが使われていた。


担当検事は記者会見で「大谷選手は事件の被害者」と強調。

水原容疑者が野球賭博をしていたことは確認できなかったと説明した。


水原容疑者は2018年、大谷選手の銀行口座の開設を手伝った。

大谷選手の野球選手としての収入はこの口座に入金されていた。

他の口座も含めて、大谷選手が水原容疑者に管理を任せたことはなかったが、水原容疑者は大谷選手の会計担当らに対し、口座にアクセスしないよう大谷選手が求めていると伝えたとされる。


水原容疑者は違法賭博問題の発覚を受けて球団を解雇された。

 


不正送金24億円超の疑い、有罪認めれば司法取引へ 

ロサンゼルスの連邦地検が大谷選手の元通訳・水原容疑者を銀行詐欺罪で訴追した。


Q:訴追とは?

A:検察が裁判所に犯罪の容疑者であると信じる相当な理由を提示し、刑事責任を追及すること。今回は連邦地裁に捜査官の宣誓証言が提出された。水原容疑者が違法賭博で多額の損失を出し、大谷選手の銀行口座から不正に送金したとする過程が詳述されている。


Q:今後の流れは?

A:水原容疑者は4月12日に同地裁に出廷する。

罪状認否の機会が設定される見込みで、有罪を認めた場合は量刑に関する司法取引が成立する可能性が高くなる。司法取引があっても実刑2030年は免れないかもしれない。

 

(2024年5月1日号掲載)

岸田首相ジョーク、沸く夕食会 多様な顔触れ、日米友好に彩り

2024年4月11日

国賓待遇で訪米した岸田文雄首相は4月10日夜、バイデン大統領夫妻がホワイトハウスで開いた公式夕食会に出席した。

ジョークを織り交ぜ、人気SFシリーズの名文句を引用した英語のスピーチを披露して会場を沸かせた。

人気音楽ユニットやアスリート、著名実業家ら日米の多様な顔触れが招かれ、友好の場に彩りを添えた。


岸田氏は「妻の裕子 (ゆうこ) が『誰が主賓なのか見分けるのが難しい』と言っていた。大統領の隣の席に案内され、私はホッとした」と語ると、場内は大きな笑いに包まれ、バイデン氏も満面の笑みを浮かべた。


緊密な日米関係に触れた上で、人気SFシリーズ「スタートレック」の名セリフを引用して「前人未到の地へ果敢に行こう」と
呼びかけ、スピーチを締めた。

首相就任以来「検討する」との国会答弁を重ねて「検討使 (けんとうし)」と揶揄 (やゆ) されてきたが、違った一面を見せた。


米側の招待リストによると、日本の音楽ユニット「YOASOBI」の2人や俳優ロバートデニーロさん、歌手のポールサイモンさんが出席。

車いすテニス男子のトップ選手として活躍した国枝慎吾 (くにえだ・しんご) さんや日系米国人で往年のフィギュアスケートの名選手クリスティヤマグチさんの名前もあった。

ソフトバンク創業者の孫正義 (そん・まさよし) 氏やアップルのティムクック最高経営責任者 (CEO)、アマゾン・コム創業者のジェフベゾス氏ら経済界の著名人も。

宇宙飛行士の星出彰彦 (ほしで・あきひこ) さんも参加。

クリントン元大統領夫妻も招待された。

 

(2024年5月1日号掲載)

銃乱射犯の両親に禁錮刑 米国で初ケース、過失致死罪

2024年4月10日

ミシガン州の高校で2021年11月、当時15歳の少年終身刑で服役中=が拳銃乱射して生徒4人を殺害した事件で、同州地裁は4月9日、過失致死罪で少年の父親 (47) と母親 (46) にそれぞれ禁錮10年以上を言い渡した。


AP通信によると、米国内の学校での乱射事件で実行犯の親が有罪となるのは初のケースで、極めて異例。


地裁判事は、両親には少年の犯行を食い止める機会が何度もあったと指摘し「子育ての問題ではない。

身の毛がよだつような出来事を無視した結果だ」と強調した。

両親はいずれも10年間の服役後に仮釈放の対象となり、最長で禁錮15年となる可能性がある。


米メディアによると、高校は事件当日、銃と負傷した人を描いた少年の絵を発見し、両親を呼び出して帰宅させるよう求めた。

両親は仕事を理由に断り、少年に拳銃を買い与えていたことも高校に伝えなかった。


地裁の陪審が今年2月に母親、3月には父親に有罪評決を下した。

検察は、両親が拳銃の管理を怠っていたと指摘。

少年が精神的に不安定だったにもかかわらず、適切な治療を受けさせず、事件を引き起こした責任があると糾弾。

被告側は事件は予見不可能だったとして、親の刑事責任を認めれば危険な前例になると主張していた。

男子生徒は学校内で苛 (いじ) めを受けていたなど、以前から生徒間のトラブルがあったとの情報もある。



*イラストはイメージ



(2024年5月1日号掲載)

習指導部「国共合作」で日米に対抗 バイデン /岸田首脳会談を牽制

2024年4月10日

日米首脳会談のタイミングにぶつけるかのように、中国の習近平 (しゅう・きんぺい) 国家主席が4月10日に台湾の馬英九 (ば・えいきゅう) 前総統と会談した。

習指導部は独立派と見なす台湾与党、民主進歩党民進党新政権日米の連携に対抗する「最大の効果」(中国の外交筋)を
狙った。

中国共産党は、馬氏が所属する対中融和路線の国民党を取り込み、「国共合作」で統一を進めたい考えだ。

 

▽揺さぶり

それぞれ赤と青のネクタイをした習氏と馬氏。

笑顔で16秒間、約8年半ぶりの握手を交わした。

会談で「中華民族は偉大な民族だ」と言う習氏に「(中台の) 人民は共に中華民族に属する」と応じる馬氏。

「馬先生」「習先生」と呼び合った。

習指導部は「一つの中国」を認めない民進党政権を敵視。

1月の台湾総統選で同党の頼清徳 (らい・せいとく) 副総統当選後、台湾に圧力をかけている。

台湾の離島、金門島付近で2月に起きた中国漁船転覆事故を契機に、海警局によるパトロールを常態化し現状変更の動きを見せる。


 一方、総統選と同時実施の立法委員(国会議員)選で国民党が第1党となったことを念頭に中国は「民進党は台湾の主流の民意を代表しているわけではない」(台湾事務弁公室)とも主張。

それでも「3期連続の民進党に対する長期政権への危機感」(香港の政治学者) から、民進党と国民党に硬軟両様の対応を取り、台湾社会を揺さぶる。

 

▽緩和

日米は5月に発足する頼氏の新政権とも連携を強化させる方針。

4月10日は台湾防衛支援などを定めた米国の台湾関係法成立からちょうど45年の記念日でもある。


民進党の一部立法委員は「中国は馬氏との会談を対米圧力の道具にし、(馬氏は) 中国の統一戦線工作のコマになった」と指摘。

ただ民進党政権は「中台間で交流があることは良いことだ」(邱太三:きゅう・たいさん・大陸委員会主任委員) と馬氏訪中に対する表だった批判を控える。


背景には中台間の緊張緩和につながるとの期待がある。

国民党系メディアの幹部は「習氏が馬氏と会談した後に、馬氏のメンツを潰 (つぶ) すような行動に出るとは考えにくい。

会談は結果的に頼新政権を助ける側面もある」と分析している。

 

▽後継

共産党と国民党は日中戦争の時期などに「国共合作」と呼ばれる協力関係を結び共闘した歴史がある。

中台関係筋によると、今回の馬氏訪中は中国側が働きかけて実現。

2005年に共産党の胡錦濤 (こ・きんとう) 総書記(当時)と60年ぶりの「国共トップ会談」を行った国民党の連戦 (れん・せん) 主席 (同) の後継として、馬氏を習氏の台湾側のカウンターパートに位置付けた可能性もある。


馬氏も自身の影響力強化を狙う。

北京郊外の中国人民抗日戦争記念館を訪れるなどし「抗日の歴史」を強調。

中国に寄り添ってみせた。


ただ、台湾では台湾人意識が高まり、国民党内でも親中路線への警戒感は根強い。

馬氏を通じた「台湾統一戦線工作」の効果は限定的との見方も多い。



*Picture:© jamesonwu1972 / shutterstock.com

 


(2024年5月1日号掲載)

中道団体、候補擁立断念 勝利可能性見いだせず

2024年4月6日

米国の中道政治団体ノーレーベルズ (No Labels/レッテルなし)」は4月4日、11月の大統領選に向けて目指していた独自候補擁立を断念したと発表した。

2大政党の民主、共和両党のいずれでもない第3極を狙ったが、勝利できる可能性のある候補者を見つけられなかった。


民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領による2020年選挙に続く再対決を望まない有権者が多い中、不満の受け皿
なる可能性があるとして注目されていた。

票の分散を避けたいバイデン氏とトランプ氏には朗報になった。


ノーレーベルズは声明で「米国民はかつてないほど無所属の大統領候補に前向きだ」と指摘。

「この運動はまだ終わったわけではない。

むしろ始まったばかりだ」とし、超党派の活動を続ける姿勢を示した。


南部ウェストバージニア州選出の民主党中道派ジョー・マンチン上院議員の擁立論も一時浮上したが、本人が2月に出馬見送りを表明した。

ノーレーベルズは共和党候補指名争いでトランプ氏に食らいついたニッキー・ヘイリー元国連大使にも秋波 (しゅうは) を送ったが、ヘイリー氏は関心を示さなかった。


ノーレーベルズ共同議長のジョゼフ・リーバーマン元上院議員が3月27日に死去し、調整役を失ったことも影響した可能性がある。


2大政党以外では無所属の弁護士ロバート・ケネディ・ジュニア氏、小政党「緑の党」のジル・スタイン氏、無所属の進歩派論客コーネル・ウェスト氏が出馬している。


(2024年5月1日号掲載)

最低賃金、時給20ドルに CA州のファストフード店

2024年4月2日

カリフォルニア州で4月1日、州内のファストフード店最低時給20ドル (約3,100円) に引き上げられた。

全業種の最低時給16ドルを大きく上回り、ファストフード店の労働者の賃金では全米で最高水準となる。

他業種での賃金改善にも波及する可能性がある一方、インフレを促進する要因にもなりそうだ。


対象は全国で60店舗以上を運営するブランドのファストフード店。

同州で働く50万人以上の従業員の賃金が引き上げられるという。

2022年の平均時給は16.21ドルだった。


ファストフード店従業員の最低賃金をめぐっては、2022年9月に最大22ドルに引き上げる州法が成立。

だが、企業側からの反対を受けて施行されず、交渉を経て20ドルにすることで落ち着いた。

ニューサム知事が昨年9月、法案に署名した。


今回の最低賃金引き上げは、人手不足に悩む他の飲食店や別業種の賃金の引き上げにつながる可能性もある。

一方、人件費抑制のため施行前に一部の従業員を解雇する動きも見られた。

ただ、カリフォルニア州は全米でも物価が比較的高く、労働者の賃金が上がることでインフレがさらに進むことを懸念する声もある。


*写真は、ロサンゼルスのファーストフード店内で「法案AB1228」に署名するギャビン・ニューサムCA州知事。



*Picture: © Ringo Chiu /shutterstock.com


(2024年5月1日号掲載)

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