「CES」で新製品発表、AI 対応半導体投入の新車 ソニー・ホンダと MS 提携、開発中の EV「AFEELA」にも
2024年1月13日
1月9日~12日にラスベガスで開催された世界最大級の家電IT見本市「CES」では、先端技術を搭載した家電や自動車のほか、製品やサービスの機能を支える半導体分野でも人工知能 (AI) に関する展示や発表が相次いだ。米半導体大手インテルはAIに対応した半導体を自動車向けに投入する計画を発表。
利用者の指示で文章や画像、音声を作り出す生成AIブームを背景に、半導体各社の間でAI対応の
競争が激化している。
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家電分野では、パソコンでAIが効率的に処理できるようになる半導体を開発したインテルが、この技術を車に適応させることで、音声アシスタントや車内でのビデオ会議がスムーズに行えるようになると発表。
車載半導体分野で競合関係にあるクアルコム (本社:サンディエゴ) などに対抗する考えを明らかにした。
このほか、米エヌビディアはCESの一般公開に先立つ1月8日にパソコン用の画像処理半導体 (GPU) の新製品を発表した。
高精細な画像などの処理が速くなることで、これまで主にデータセンターで利用されてきた生成AIをパソコン上でもスムーズに操作できるようになる。
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自動車では、ソニーとホンダの共同出資会社ソニー・ホンダモビリティ (本社:東京) が1月8日、マイクロソフト (MS) と提携し、AIを使った対話機能を開発中のEV「AFEELA (アフィーラ)」に導入すると発表した。
ドイツのフォルクスワーゲン (VW) が同日、チャットGPTを多くの市販車に搭載すると明らかにしており、対話型AIの自動車への導入競争が始まった。
CESで行われたソニーグループのメディア向け発表会で明らかにした。
自動車メーカーはこれまでも音声でエアコン操作や交通情報の取得などができる音声認識機能を搭載してきたが、生成AIにより、複雑な質問に答えられるようになる。
ソニー・ホンダはMSが提携する米新興企業オープンAIの言語モデルを活用して開発する方針。
アフィーラは2025年前半に先行受注を始め、納車は北米で2026年春、日本で2026年中の計画だという。
生産は北米のホンダ工場を予定している。
公開された新しい試作車はサイドミラーが付くなど、初代の試作車に比べて実用化に向けたデザインになっている。
他に、ドイツのメルセデス・ベンツ・グループも米国でチャットGPTを一部車両に試験的に組み込むと明らかにしている。
生成AIをめぐっては、同意なく個人情報が収集されるのではといった懸念も根強い。
MSは発表会で「モビリティーにおいて顧客データの安心・安全は最優先事項だ」と強調し、VWも「質問や回答などのデータはすぐ削除される」と述べた。
*Picture:© RYO Alexandre / shutterstock.com
(2024年2月1日号掲載)